日本医師会 赤ひげ大賞

受賞者

第9回 赤ひげ大賞受賞者紹介

離島で完結する医療と福祉を目指す

升田 鉄三
(北海道/礼文町国民健康保険船泊診療所 所長)
升田 鉄三

礼文島唯一の医師として長きにわたり地域医療に貢献してきた。診療所では、人工透析器2台を備え、稚内市の精神神経科と連携して、精神科のオンライン診療も行っている。MRIやCTも設置し、上部・下部内視鏡検査・超音波検査を充実することで、島内での検査・治療を可能にするだけではなく、島内申請者全員の主治医意見書の作成や特養への月2回の訪問診療を実施。毎月、医療・保健・福祉関係者と在宅医療患者の情報交換も行っている。

被災地に根差し住民の健康を担う

藤井 敏司
(岩手県/藤井小児科内科クリニック 院長)
藤井 敏司

町唯一の小児科開業医として、昭和58年から地域の子ども達の健康管理に人生を捧げている。東日本大震災の際には甚大な被害を受け、自宅、診療所、分院、全てが津波に飲み込まれ、自衛隊の救助で高台の体育館に避難したが、そこでも避難者の対応に当たった。一時、体調を崩し入院加療するが、小児科医院の再開を強く希望する地元の声に応え、診療所を再開し、地元住民に寄り添い、地域の復興と医療の再生に現在も尽力している。

24時間365日×30年以上 救急対応に挑む

鈴木 直文
(茨城県/慈泉堂病院 理事長)
鈴木 直文

所縁のない町に開業し、24時間体制で希望する患者を昼夜問わず受け入れ、訪問診療も実施、往診にも対応している。病院の敷地内にある自宅では、いつ呼び出されても常に対応できるよう備えており、患者に対する熱意は並々ならぬものがある。令和元年10月の台風19号は町に甚大な被害をもたらし、病院は床上浸水で1階部分が機能停止。他の病院も同様で、町内の医療機関が麻痺した際にも床の汚泥除去から復旧に努め、3日後には外来患者、救急患者の受け入れを始めた。

99歳現役、進取の気性と飽くなき向上心

伊藤 博
(石川県/伊藤病院 名誉院長)
伊藤 博

日本陸軍医学校卒業後、金沢陸軍病院の教育隊長として従軍。昭和23年の福井地震の際には防疫体制確保のために尽力した。胃がんの診断治療の技術向上に努め、昭和29年より北陸初の胃カメラ臨床応用を開始するなど、多くの早期胃がん患者の治療に貢献。昭和39年に伊藤内科を開設後は、X線テレビ室、内視鏡室、臨床検査室を設置し、当時の先進的な取り組みを行った。「黄泉からのお迎えがあった時が、自分の現役が終わる時」として、今も現役で診療を続けている。

運命に導かれ、地域の子供の健康守り続け

梶尾 直美
(広島県/沖野上クリニック 院長)
梶尾 直美

福山市において昭和41年から54年間の献身的な診療を通じ、地域住民から「かかりつけ医」として絶大な信頼を寄せられている。小児科医として将来を担う子ども達の心身共に健やかな育成を目指して、疾病の早期発見・早期治療と予防、保護者に対する健康指導など、母子保健活動にも積極的に取り組んでいる。平成12年に福山市医師会が、二次救急病院の負担軽減を図るために福山夜間小児診療所を開設後は、多忙の中、協力医として20年間出務した。

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