日本医師会 赤ひげ大賞

小冊子

第4回

選考講評
日本医師会 常任理事 石川 広己

第4回「日本医師会赤ひげ大賞」の選考につきましては、5月25日に日本医師会より都道府県医師会宛て推薦依頼文書をお送りし、23の医師会から27名のご推薦をいただきました。

選考に当たりましては、まず、厚生労働省医政局長の神田裕二様、昭和館館長・宮内庁参与の羽毛田信吾様、宇宙航空研究開発機構技術参与・東京理科大学副学長の向井千秋様、タレントの山田邦子様、作家の小林光恵様、産経新聞社専務取締役の飯塚浩彦様、同じく産経新聞社論説委員の河合雅司様、それに日本医師会役員が加わった9名で審査を行い、その結果を基に、10月7日に日本医師会館で選考会を開催させていただきました。

その後、12月16日に、今回の結果を公表し、本日の表彰式を迎えるに至りました。

赤ひげ大賞では、選考対象として、病を診るだけではなく、地域に根付き、その地域のかかりつけ医として、生命の誕生から看取りまで、さまざまな場面で住民の疾病予防や健康の保持増進に努めている医師を掲げておりましたが、各都道府県医師会よりご推薦をいただきました27名の先生方はすべて、本賞に値する素晴らしい活動を地域で続けてこられた方々ばかりであり、選考には困難を伴いました。

そのような中、特に選考委員の目を引きましたのが、今回受賞されました5名の先生方でありました。

栃木県の髙橋昭彦先生は、在宅療養支援診療所を運営する傍ら、敷地内に重症障害児者レスパイトケア施設を開設され、医療的ケアが必要な子どもが楽しく過ごせ、親たちが安心して預けられる場所を提供することで患者と家族の暮らしを支援しておられます。

神奈川県の山中修先生は、日本三大日雇い労働者の街で医療施設を開設し、「家族がいない人のための町医者」を診療の理念として、身寄りのない高齢者や地域住民の人生の質の向上に積極的に取り組んでおられます。

岐阜県の土川権三郎先生は、在宅で暮らしたいと願う全ての人の希望を実現するため、365日昼夜問わず往診する他、対象者1人ひとりに焦点を当てたケア・カンファレンスを行う等、常に住民のため最善を尽くしておられます。

鳥取県の高見徹先生は、「まちは大きなホスピタル」をモットーに積極的にまちに出て、高齢化率47%を超える日南町において、高齢になっても元気に住み続けられるまちづくりに貢献するとともに、高齢化社会を見据えた新しい地域医療を目指して日々奮闘されていらっしゃいます。

熊本県の緒方健一先生は、本来小児は家庭の温もりの中で成長してく事が望ましいとの思いから、重症児の小児在宅医療にいち早く取り組むとともに、全国的に評価されている開業小児科医が出務する小児救急医療「熊本方式」においても、中心的な役割を担っておられます。

5人の方に共通しているのは、病気だけを診るのではなく、患者さんやそのご家族が暮らしている地域まで診ているということであり、まさに医療でまちづくりを実践する現代の赤ひげ先生の心意気に大変感動いたしました。

高齢社会を迎え、往診、看取りなど現場の先生方のご苦労は絶えないこととお察ししますが、日本の医療を支えていらっしゃるのは、今回受賞された先生方を始めとした地域医療に従事する先生方なのです。

本赤ひげ大賞が、そのような先生方の励みとなり、現代の赤ひげ先生がそれぞれの地域で地域医療の充実にご尽力いただけることを願っております。ありがとうございました。

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