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第3回

選考講評
日本医師会常任理事 石川 広己

第3回「日本医師会 赤ひげ大賞」の選考につきましては、6月19日に日本医師会より都道府県医師会宛て推薦依頼文書をお送りし、21の医師会からご推薦をいただきました。

選考に当たりましては、外部の審査員、産経新聞社、それに日本医師会役員が加わった11名で審査を行い、その結果を基に、8月28日には日本医師会館で選考会を開催させていただきました。

その後、10月22日には、今回の結果を公表し、本日の表彰式を迎えるに至りました。本日受賞されました皆様には心よりお祝いを申し上げるとともに、ご推薦していただきました都道府県医師会、更には、特別協賛いただきましたジャパンワクチン株式会社、ご後援いただいた厚生労働省など、本賞にご支援賜りました多数の方々に感謝を申し上げます。

赤ひげ大賞では、選考対象として、日常の診療に加えて、「予防医療活動・学校保健活動・公衆衛生活動等を通じた地域住民の健康管理」「医療環境整備や社会活動」「障害をもった方や高齢者が安心して暮らせるような活動」といった取り組みに尽力し、医療を通じてまちづくりの一翼を担っている医師。また、医師不足・医師偏在等、医療資源の乏しい地域や、インフラ整備が進んでいない地域など、地方あるいは都市ならではの問題を抱えた厳しい医療環境の中で住民を支えている医師、等を掲げておりましたが、各都道府県医師会よりご推薦をいただきました21名の先生方はすべて、本賞に値する素晴らしい活動を地域で続けてこられた方々ばかりであり、選考には困難を伴いました。

そのような中、特に選考委員の目を引きましたのが、今回受賞されました5名の先生方でありました。

岩手県の岩田千尋(いわた・ちひろ)先生は、医師不足が恒常的な中、38年間の長きにわたり近隣住民の健康管理に貢献されるとともに、東日本大震災後、町民の笑顔を取り戻すべく、定年退職を延長して勤務を続け、全力で医業に取り組んでいらっしゃいます。

東京都の西嶋公子(にしじま・きみこ)先生は、地域のコミュニティーが未熟な新興住宅地において、住民による互助の仕組みを立ち上げるなど、現在の地域ケアモデルとも言うべき取り組みの先駆者でいらっしゃいます。

徳島県の鬼頭秀樹(きとう・ひでき)先生は、地域医療に貢献したいという思いで移住され、病院内で完結できる診療範囲の拡大や、24時間年中無休で対応する等、常に、町民の健康のため最善を尽くしておられます。

福岡県のニノ坂保喜(にのさか・やすよし)先生は、人生の最期は豊かな生活の中で迎えるべきであるとして、在宅ホスピスボランティアの養成や住民への医療・在宅ホスピスに関する知識の普及・啓発等、地域に根付いた医療活動を続けていらっしゃいます。

鹿児島県の古川誠二(こかわ・せいじ)先生は、在宅死が7割を超える離島で専門医がいない中、プライマリ・ケアの実践を行い、25年間離島医療に従事されている他、島しょ地域の医療向上を図るための人材育成にも、積極的に取り組んでおられます。

5人の方に共通しているのは、病気だけを診るのではなく、患者さんやそのご家族が暮らしている地域まで診ているということであり、まさに医療はまちづくりを実践する現代の赤ひげ先生の心意気に大変感動いたしました。

高齢社会を迎え、往診、在宅医療、看取りなど現場の先生方のご苦労は絶えないこととお察ししますが、日本の医療を支えていらっしゃるのは、今回受賞された先生方をはじめとした地域医療に従事する先生方なのです。

本赤ひげ大賞が、そのような先生方の励みとなり、第3、第4の赤ひげ先生がそれぞれの地域で地域医療の充実にご尽力いただけることを願っております。ありがとうございました。